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今まで読んだ数学の本

久々の更新ですが,今回は今まで読んだ数学の本を紹介します*1*2離散数学や組合せ最適化の本がメインです.

  グラフ理論 (R. Diestel) 

 グラフ理論について広く浅く書かれている本.日本語で書かれたグラフ理論の本では多分一番詳しい.特徴としてはグラフマイナーについての章があるのが珍しいという感じ(グラフマイナー定理の証明も概略は載っている).

離散凸解析と最適化アルゴリズム(室田一雄,塩浦昭義) 

 離散凸解析の本.離散凸解析と組合せ最適化問題アルゴリズムのつながりに重点をおいて説明している.構成としては,前半でいくつか組合せ最適化問題を紹介し,後半で離散凸解析を導入しがてら紹介した組合せ最適化問題との関連を述べている.離散凸解析自体の説明は後半でしか出てこないためちょっと少なめ.

グラフ・ネットワーク・マトロイド(伊理正夫,藤重悟,大山達雄)

かなり昔の本(1986年発売)だけど,マトロイドの話が載っている数少ない日本語書籍.1986年当時の最先端のグラフ・ネットワーク・マトロイドの話が書いてあるが,今見るとトピックの選び方がマニアックに見えたりして面白い.計数工学科の基礎数理っぽさを感じる内容の本.今は絶版で中古でしか入手できない.

量子コンピュータ入門(宮野健次郎,古澤明)

量子コンピュータ入門(第2版)

量子コンピュータ入門(第2版)

 

量子回路や量子アルゴリズムについて載っている本.特に素因数分解の量子アルゴリズムとして有名なShorのアルゴリズムが丁寧に紹介されている.量子力学の知識がない人でも内容がわかるように書かれているので,手っ取り早く量子アルゴリズムに入門したい人におすすめ.

 計算理論の基礎 (M. Sipser)

計算理論の基礎 [原著第2版] 1.オートマトンと言語

計算理論の基礎 [原著第2版] 1.オートマトンと言語

 
計算理論の基礎

計算理論の基礎

 

 1,2,3巻がある.下のものは分冊になる前の古い版で,自分はこちらを読んだ*3オートマトン形式言語,計算可能性,計算量など計算理論分野の話題が幅広く載っている.定理の証明などで,直感的な説明をしたあとに厳密な証明を書くというスタイルを取っており,非常に読みやすくわかりやすい.

組合せ最適化 (B. Korte, J. Vygen)

組合せ最適化 第2版 (理論とアルゴリズム)
 

組合せ最適化の幅広いトピックの基礎が網羅されている本.組合せ最適化の勉強をするときは一家に一台あると便利かもしれない.行間少なめ.説明はわかりやすさ重視というよりは文字数が最小になるような説明方法が選択されている感じがして,ページ数あたりの情報量が多い.

 Combinatorial Optimization (A. Schrijver)

Combinatorial Optimization (Algorithms and Combinatorics (24))

Combinatorial Optimization (Algorithms and Combinatorics (24))

 

 A,B,Cの3分冊になっている組合せ最適化の教科書(英語).通称Schrijver ABC.合計1800ページ超えで,Cは半分以上がreferenceに費やされている.内容としては2000年代前半までの組合せ最適化の話題の大部分を網羅しているという感じで,研究のサーベイにも使えるレベルで詳しい*4.組合せ最適化の研究で何かサーベイするときはとりあえずこれを読んでみるのもありかもしれない.

*1:本当は数学のちゃんとした記事も書きたいのですが,エネルギーを使うのと,研究を始めたせいで気持ち的に下手なことを書けなくなった(?)ために最近書けてないです.

*2:読んだと言っていますが,実はまだ読みかけの本も多いです.積読消化していきたいです.

*3:古本屋で安く売っていたので

*4:自分は組合せ最適化のあるトピックについて頑張ってネットでサーベイしたあとでSchrijver ABCを読んだところ,サーベイした内容がほぼすべて載っていたことがあります.